「寄り添う」「ヒト・ネコ・ミドリ」 中間市

中間市N様邸 建築家 木内浩司 先生

UA値: 0.38W/㎡・K  C値: 0.2㎠/㎡

「寄り添う」「ヒト・ネコ・ミドリ」平屋の家

寄り添う。
その緩やかに曲がる歩道を、なだらかな丘を登るような感覚で歩いていると、優しい南風と特徴的な三角の敷地が出迎えてくれました。周辺環境を観察すると、遠景の稜線におおらかに囲まれながらも、ボリューム感のある施設や高低差のある住宅が建ち並んでおり、道路に面する間口が広いことなどから、近隣との関係性や距離感を大切にしつつ穏やかに過ごせる設えと、この風景に静かに呼応するような佇まいが必要だと感じました。

そこで、駐車場と庭(距離の確保)を除いた余白を十分に活かせるよう、敷地に対して木造グリッドを雁行型で合わせることにより、この場所ならではの座り方(配置)となり、道路の上り下りでは見え方が変化していく陰影が特徴的な構成を目指しています。また、内部空間は最大限の面積を活かせるよう廊下をなくし、大きな窓を組み込むことで全体の広がりや外との一体感も生まれます。

ご要望である空間や、「ヒト・ネコ・ミドリ」の日常も考慮しながら窓や壁の位置を慎重に配していますので、土間植物と借景を感じながらの料理や食事、刻々と変化する雲の濃淡と流れる風、季節の移ろいとともに彩る山々をリビングで感じていただければ幸いです。この土地に沿う佇まいが刻々と変化しながら、雁のように街を先導するようなランドマークになってくれることを願っています。

光・緑・自転車・スロップシンクを意識した、玄関続きの土間

趣味のひとつである観葉植物がお客様を迎え入れる土間空間。リビング側に設けたインテリアウィンドウが空間を繋ぎます。植物が育つ窓の配置計画とし、家の中からはピクチャーウィンドウの役目をはたし、隣接土地の緑を借景する計画。ステンレスシンクは植物の手入れのために設置。趣味のロードバイクは、バイクスタンドに設置しおしゃれなインテリアとして、ディスプレイしながら保管。ダクトレールに演色性の高い照明をつけて、植物やロードバイクを照らします。シューズボックスは床から浮かせて間接照明を計画することにより、雰囲気のある土間空間を演出。

土間とリビングを区切りながら繋ぐ、ガラスのハイドア

閉めればリビングと土間の境目ができる。でも光や空間はいつでも共有でき、区切りながらも繋ぐガラスのハイドアを設置。照明器具は、あるだけで絵になるブラケットライト。所々に真鍮素材を使用。

景色を採り込むピクチャーウィンドウ

ガラスのハイドアを介して臨むピクチャーウィンドウ。左奥の書斎に行くためには、床を繋げるのではなく土間に飛び石を設置することにより統一感を出しました。

大きな窓のある明るい、リビング・ダイニング

明るいリビングにするために、南側に壁全面の窓を計画しました。来客の様子を伺える、ビッグサイズのインテリアウィンドウ。ホームシアター用のスピーカー計画も充実させました。猫に有害な観葉植物もあるため、ガラスのハイドアで土間とリビングを繋ぎながら区切っています。

タイル土間のあるリビングダイニング

リビングに隣接した猫部屋の引き戸にもガラスのハイドアを使用。来客時にリビングの中が丸見えにならないようにするためのミラーハイドアを玄関とリビングの境目に設置することにより、プライバシーを確保しています。南側の壁一面の窓の内側にタイル土間を設置することにより、冬場の暖かい日差しを確保し、LDKの温熱効果にも貢献しています。また、夏場は外部の庇を設置することにより、暑い太陽光を遮断することでタイルのひんやり感も感じることができます。

リビングと寝室に接した猫部屋

リビングに接した猫部屋との境目にもガラスのハイドアを設置。落ち着いた空間になるように色付のガラスを使用することにより、気配を感じることが出来るようにしました。就寝後も猫の様子をうかがえるように、寝室との境目には小窓を設けています。床には、Pタイルを使用することにより耐久性を向上させる計画としました。

ウォークインクローゼットと洗面所

洗面所の壁のタイルに「名古屋モザイク」のタイルを使用。洗面台はサンワカンパニー。洗面所は脱衣ランドリースペースを出たところに配置し、隣にウォークインクローゼットを設置することで、家事動線をスムーズにしました。

三角土地に建つシンプルなグレーの外観

敷地は三角の土地なので建物の平面配置は、階段状に計画しています。時間の変化に伴う光の指し方で建物の表情が刻々と変化していく陰影が特徴的な外観となりました。外部の形状はジグザグなのに家の中に立つとそれを感じさせない間取りとなっています。外観の一部に無垢の板を使用することにより、柔らかさを出しました。

造作飾り棚のあるリビング

雑貨ディスプレイ用の収納を兼ねた造作飾り棚。インテリアのイメージはナチュラル感を目指したので、床には、バーチの無垢板を使用。アートフレームを飾る壁を計画。ダイニングテーブル上のニッチには、USBのコンセントを設置。奥行はティッシュBOXサイズに合わせました。キッチンバックには、生活感を感じさせないために引き戸を計画し、家電製品を隠せるようにしています。
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